コロナショック、広告不況につながりかねない。

グローバルな広告主たちが、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大によるメディア支出の大混乱を収めるべく奔走している。

グローバルな広告市場に対する新型コロナウイルスの影響はまだまだわからないが「しかし、広告の経済史を見れば、幸先がよい状況ではない」。
経済協力開発機構(OECD)は3月2日、新型コロナウイルスの影響が拡大した場合、2020年は世界経済の成長率は、前年の2.9%からほぼ半分の1.5%に落ち込むおそれがあると表明。

打撃は「需要」と「供給」の両方に

新型コロナウイルスによる経済的打撃は、経済の需要と供給の両方に及ぶという特徴がありそうだ。需要面では、移動が少なくなり、消費者はおそらく支出をためらうようになる。供給面では、製造業のサプライチェーンが混乱する。この両側面に対処できる選択肢はあまりなく、世界中の政策立案者が苦境に陥っているのだ。

メディア予算を見直しているのは、これまでのところ、中国の製造業者と物流ネットワークに依存している企業が中心。消費財や自動車のメーカーが、新型コロナウイルスで工場や輸送路の閉鎖に直面している。最終製品を供給できなければ、製品の需要喚起の正当化は難しくなる。

今の所、デジタルメディアは意外に軽症

真っ先に変更されるのは、デジタルの予算であることが多い。マーケターはたいてい、メディアオーナーから引き上げた資金を、すべて戻して収益にすることを求められる。

しかし、見直しは予算削減とは限らない。たとえば、北欧市場のあるメディア企業は、アウトブレイクの情報を提供したい政府のさまざまな衛生当局を中心に、サイトの広告の受注が減るどころか増えていると、あるデジタルディレクターが匿名を条件に明らかにした。

決まっている広告投資の削減は、デジタルメディアよりも(数カ月前から予約されることが多い)テレビのほうが難しい傾向にある。そのような事前契約を撤回するのは、金銭的なペナルティを受け入れるとしても簡単ではない。広告主は、撤回ではなく、キャンペーンを延期して、あとで年内に広告を実施することが多い。その場合、メデイアオーナー側は広告投資が維持され、広告主側は罰金を回避できる。

経済復興のスピード次第で予定予算を使用

いまは、アウトブレイクの影響が明らかになってきているところであり、広告主側は様子見しかない状態にあるようだ。仮にアウトブレイクが3カ月を超えて続くようなことになると、不測の事態への対応プランをめぐる現状は逆転するかもしれない。2009年の広告不況の際に大打撃を受けたのは、ブランドマーケティング予算とそれに伴うテレビ予算だった。検索やその他のパフォーマンスチャネルは比較的、傷が浅かった。経済活動がどの程度持ち直すかだ。これは予測が難しい。市場破綻のギリギリの所で回復見込みと考えられた場合は、一気に予定予算を投じて、市場回復へと向かう可能性もある。